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インセルとは何か

 どうも、人生黄昏街道琥珀銀です。最近災害が多くて「惜しい人を亡くした」とかいうニュースを見るたびに、生産性がない自分はなーんで生かされているんだろうなぁとしみじみ思う今日このごろです。私なんてそーろそろ消されそーな気がしておりますが。。。

 さて、今回はおやすみ前のチノちゃんを描かせて頂きました。この手の着ぐるみっぽい服を描くのは初めてですな。マッタリとした雰囲気を感じて頂ければと思って描いた一枚です。

 それでは、今日の話題に入りましょう。今日は最近にわかに言われるようになった「インセル」とは何か、非モテと何が違うのかについてお話ししたいと思います。

 このインセルという言葉、一般的には非モテが過激派になったものと解釈されている様です。NHKの報道にあるように非モテ≒インセルという構図が前提で説明しているところが非常に多い。

 これを読んでいる皆様は当然、私と同じ非モテであると認識しております。ですので非モテについての説明は省略します。しかし、インセルなる言葉は初めて聞いたという方は多いでしょう。私なりに調べた結果で、インセルと呼ばれる人たちを説明しますと以下の通りとなります。

 まず、インセルとは欧米(特に米国)でモテない人たちが名乗る自称です。女性と付き合った事も無いし、女性経験もない。involuntary celibate(インボランタリー・セリベイト/不本意の禁欲主義者)の略で、モテたいんだけどなんらかの原因でモテない人達となります。彼らは、リア充達を「チャド」と呼び、自分を受け入れない女性を「ステイシー」と呼んでいる様です。なお、彼女がいる一般人は「ノーミー」として、全部ひっくるめて、自分たちとは違う恵まれた連中だと信じています。これを「黒い錠剤理論」と呼んでいるとか。(注:"黒い錠剤"とは麻薬アヘンを指す隠語です。この言葉を使う際は注意してください)

 これだけ書くと「それって非モテとあまり変わらないのでは?」と思われるかと思いますが、我々非モテと大きく違うのは、彼らが自分たちを受け入れない女性達に強い憎しみを抱き、時には殺人に至る犯罪を犯しているところです。

 よくネット上で「童貞は犯罪者予備軍」という煽りを受けますが、そんな生易しいモンじゃない。彼らはガチで殺ります。すでに米国ではインセル達による犯罪によって死者が出ており、社会問題となっているのです。

 ここで秋葉原通り魔事件の加藤死刑囚と同じではと思われた人もいるでしょう。しかし、彼は中学生の頃にしっかりと彼女がいましたし、獄中でもその動機を否定しています。

 あと、秋葉原事件は無差別殺人ですが、インセルが起こす殺人事件は基本女性をターゲットにします。自分たちを受け入れない女性が許せないからです。動機としては犯罪史上最悪の大量殺人事件「津山三十人殺し事件」の方が近いかもしれない。ただ、ウチら非モテ側からとしては「え? そっち?」というのが正直なところじゃないでしょうか。ウチらの敵って女性本人よりも、女性を取っ替え引っ替え食いまくるイケメンリア充の方ですよね。一部ミソジニストの様な方もいますが、ミソジニストで非モテってあんまり聞かない。なぜこのような差が生まれるのでしょうか。

 それは欧米の社会構造が起因していると考えます。日本は世界的に見れば独身者に優しい社会です。「ブサなんでモテないんですよ~」てのが建前としてはともかく本音では理由になるし、独身の生き方も肯定されつつある。ところが欧米(とくに米国)はそうはいかない。殆どの公式の場でパートナー同伴が求められる。日本では重要な商談シーンで夫婦同伴なんてまずありませんが、米国ではそれが当たり前で、パートナーを同伴していないと信用ならない人物とみなされるようです。またビジネスの付き合いながら頻繁にパーティが開かれ、夫婦同伴が必須というシーンがふんだんにあります。

 さらに社会人になる前でも、高校卒業時に「プロム」と呼ばれるパートナー同伴が必須のダンスパーティが開かれます。これは日本でも古くは「ビバリーヒルズ高校白書」、最近ですと「ハリーポッター」で知られるようになりました。このプロムでは、女性を誘って同伴しなければ参加できず、参加できなければ大人になれない人物とみなされます。そして卒業後も人生に影を落とすそうで、日本でこれやったらトラウマ抱えたヒキコモリがさらに増える事は間違いありません。

 で、まぁ、こんな社会で過ごすとどうなるかと言うと、「あいつブサいからプロムで欠席したんだってよwww」「うわっ、キモっ、童貞キモっ!www」「我が社ではパートナーの1人も作れないようなコミュ障は要らない(ゴミを見る目で)」とかなんとかうわぁぁぁってんで、こんな状況では社会から孤立するのは当然至極です。かくして追い詰められた彼らは女性に敵意を向ける。女性が俺たちを受け入れてくれなかったからこんな目に遭っているんだ、と。

 これはとても不幸な事です。日本ならば、昔ほど既婚未婚で職業差別はされませんし、そもそも一部のリア充が女性を総取りしている現実がありますから仲間も多いですし、何より日本には2次元という女性達が無償の愛を向けてくれる。よく「日本には四季があるから」と言いますが、私に言わせれば「日本には2次元があるから」です。

 彼らに同情するところは多々あります。彼らは我々非モテと同じく自己嫌悪から自由ではない。リア充どもは我々を底辺だの負け組だの童貞だのと言うからこうなると言うのがまだ分からないのか、という心情は察して余りある。特権という暴力には、素朴な暴力が通用するという理屈も分からないではないです。ただ、同じ境遇を持つ者として、そういう方向へ行ってしまったのはとても残念でなりません。社会がモテない事で圧力をかけてくるのは事実ですが、結局そんなものは人の優劣を決めるものではなく、その人の個性の一部分でしかないはずです。パートナーがいない人を嗤う現代社会に彼らが牙を剥くのであれば、せめてその前に、「2次元においでよ」と言ってあげたいところです。幸せは必ずしも現実世界だけにあるとは限らないのですから。

 長くなりましたが今回はこの辺で...
 次回は秋の便りが聞こえる頃にお会いしましょう。